2018年1月13日土曜日

ナマコに学ぶ

生物学者の本川達雄さんの、ナマコに学ぶという小論が、毎日新聞に載っていました。本川さんは、主にナマコを研究する傍ら、生物学の視点から社会問題や環境問題について論じられている方です。
ナマコの不思議さは、硬い殻に覆われているわけでもないのに、なぜ他の生き物に捕食されないのかというところにもあります。その理由は、栄養価が低いからということだそうですが、体の大部分が骨と皮でできているためです。食べたことのある人は、ナマコに骨があるのと驚くかも知れませんが、皮の中に極小の骨が何千万個も入っていると言います。コリコリという食感はそのためだったのですね。
また、体を柔らかくしたり硬くしたりするのに、筋肉を使わず、「キャッチ結合組織」という細胞組織を使うので、エネルギー消費量が筋肉の場合の100分の1で済むと言います。そのためナマコは海底の砂に含まれる僅かな有機物を食べるだけで生きられます。徹底的に省エネ化する事で、食べることにも困らず、食われもしない「ナマコ天国」を作り上げました。珍味と言って食する人間だけがナマコの天敵かも知れません。

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