2017年3月18日土曜日

過労死予備軍

電通での自死事件以来、過労死の問題が取り上げられることが多くなりました。長い間サラリーマン勤務を経験し、長時間労働は一筋縄ではいかない問題だと感じています。労働組合との36協定も労働者側、使用者側の両面から見て来ました。勤めていたところは年功序列賃金でしたから、若いときは賃金が安く、年齢を重ねれば賃金が上がるという基本部分が多くを占めていました。手当もそれなりにありましたが、大きいのは役職手当です。ただ一定の役職に就くと超過勤務手当や代休がもらえないというような仕組みがありました。

経営者の一番大きな責任は、会社を存続させるというものです。会社が存続できなければ、賃金どころではなく、雇用も出来ません。存続させるためには、最低限収支トントンでなければなりません。つまり収入の範囲で支出をコントロールするということになります。ただお金は毎日動いていますので、あくまで予測に基づいてということになります。

そして株式会社であれば、株主の方から経営者に対する評価があります。そして当期利益剰余金が多ければ多いほど評価が上がる傾向にあります。ここに罠があります。必要な経費には、当然人件費も含まれますので、人件費が上がることは好ましく思わない経営者が多いのです。

それで、実態を伴わない残業代になったり、サービス残業が存在するのです。まず経営の評価を根本的に見直す必要があると思います。

日本人の多くは勤勉で、奉仕ということを厭わない性質があります。個人の生活より企業の発展を優先するような感覚です。日本人の長所でもありますが、そのために体を壊したのでは元も子もありません。サービス残業をしやすい性質を考慮した管理の仕組みが必要だと思います。

ところで、総務省『就業構造基本調査』によりますと、67業種中過労死予備軍の多い業種のワースト3は、宗教家、医師、法務従事者だそうです。われわれ僧侶も勤務形態を考えなければならない時代になったようです。
 

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